グレースケールの調査責任者ザック・パンドル氏によれば、ビットコインの量子コンピュータリスクへの対応は、技術的課題よりもコミュニティの合意形成にある可能性が高い。
3月末にグーグルが発表した論文は、量子コンピュータが従来想定よりも少ないリソースでビットコイン(BTC)の暗号を破る可能性を示し、仮想通貨業界に衝撃を与えた。
しかしパンドル氏は、ビットコインの技術的リスクは相対的に低いと説明する。UTXOモデルやプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用し、ネイティブなスマートコントラクトを持たず、一部のアドレスタイプは量子耐性を有するためだ。
問題は技術ではなく、「どのように対応するかをコミュニティが決められるかにある」と同氏は述べた。
現在、ビットコインコミュニティでは、特に古い休眠コインの扱いを巡って激しい議論が続いている。対象となるのは、初期のP2PKアドレスにロックされた約170万BTCで、その中にはサトシ・ナカモトのものとされる推定100万BTC(約680億ドル相当)も含まれる。
パンドル氏は、秘密鍵が失われた、あるいはアクセス不能なコインをどう扱うかが主要論点だと指摘する。
コミュニティの選択肢は3つ
パンドル氏によれば、コミュニティには主に3つの選択肢がある。
・コインを焼却(バーン)する
・脆弱なアドレスからの支出を制限し、流通を意図的に遅らせる
・何もしない
いずれも技術的には実現可能だが、「合意形成こそが最大のハードル」であると、パンドル氏は指摘する。
ビットコインはこれまでもプロトコル変更を巡り激しい対立を経験しており、2023年にはビットコイン・オーディナルズを巡るブロックスペース利用問題で大きな論争が発生した。
この議論は現在沈静化しているものの、依然として意見の対立は続いている。

脅威は現時点では限定的
パンドル氏は、現時点で量子コンピュータがビットコインに直接的な脅威を与えているわけではないと強調する。
ただし、将来に備えた取り組みは必要であり、「今こそ準備を始めるべき時期だ」と述べた。
ソラナやXRPレジャーはすでにポスト量子暗号の実験を進めており、イーサリアム財団も2月にロードマップを公開している。
パンドル氏は最終的に、「現時点で投資家が過度に懸念する必要はないが、ポスト量子時代への準備は加速すべきだ」と結論づけた。

