分散型金融(DeFi)プロトコル「バランサー」を手がけるバランサー・ラボは、財務難の深刻化と11月に発生した1億1600万ドル規模のハッキング事件を受け、事業を停止する。経営陣は、よりスリムでコスト効率の高い体制でプロトコルの継続を図る方針を示した。
バランサー・プロトコルの創業者の一人であるフェルナンド・マルティネリ氏は月曜日、「慎重に検討した結果、バランサー・ラボズを閉鎖する決断を下した。この決断は軽いものではない」と述べたうえで、同社は収益を伴わない運営が続いており、「プロトコルにとって資産ではなく負債となっている」と指摘した。
CEOのマーカス・ハルト氏も、プロトコルが生み出す収益に対して流動性確保のための支出が過大であり、その結果としてバランサー(BAL)トークン保有者の希薄化を招いていたと説明した。
バランサーは2020年から2021年の強気市場で注目を集めたDeFiプロトコルのひとつであり、2021年11月には総ロック資産(TVL)が33億ドルに達した。
しかし、その後TVLは2025年10月時点で8億ドルまで減少し、ハッキングによりさらに2週間で5億ドルが流出した。現在のTVLは1億5800万ドルまで低下しており、大規模なハッキング後にDeFiプロトコルが回復する難しさを示している。
マルティネリ氏は、11月の攻撃が「現実的かつ継続的な法的リスク」を生み出したと述べ、セキュリティ・インシデントに伴う責任を抱えた企業体を維持することは持続不可能だとした。
バランサー、DAO主導で運営再編へ
今後について、ハルト氏とマルティネリ氏は、バランサーの運営をバランサー・ファウンデーションおよび分散型自律組織(DAO)に移行する方針を示している。
マルティネリ氏は、より「スリムな継続戦略」を提案しており、BALトークンの発行をゼロに抑え、手数料体系を再構築してDAOの収益取り分を増やし、チーム規模を可能な限り縮小し、運営コストを引き下げるとしている。
ハルト氏は「バランサーには依然として構築可能な価値がある。この移行が成功すれば、より強固で持続可能なプロトコルを再構築できる」と述べた。DAOメンバーには、運営再編とトークノミクスの変更に関する2つの提案への投票が求められている。
トークノミクスの問題を抱えつつも、マルティネリ氏は過去3カ月で100万ドル超の収益を生み出している点を強調した。
「これは無意味な数字ではない。壊れたトークノミクスと過大なコスト構造の下に埋もれているが、機能しているプロトコルだ」と述べた。
「問題はバランサーが機能していないことではない。バランサーを取り巻く経済構造が機能していない点にある。そしてそれは修正可能だ」
