米軍幹部は、ビットコインを「価値あるコンピューターサイエンスツール」と評価し、その有用性は通貨としての用途を超え、米国の国家安全保障にも寄与し得ると述べた。
サミュエル・パパロ提督は4月21日の上院軍事委員会の公聴会で、「それは戦力投射手段として価値あるコンピューターサイエンスツールだ」と語り、ビットコインのプルーフ・オブ・ワーク(PoW)技術がネットワークへの攻撃を試みる主体に対して「より大きなコストを課す」と説明した。
パパロ提督は「経済的な側面を離れても、サイバーセキュリティにおいて極めて重要なコンピューターサイエンス上の応用がある」と述べた。
この公聴会では、ウクライナや中東での紛争、中国の軍事拡張と外国勢力との連携、北朝鮮からの脅威などを含むインド太平洋地域における米軍の戦略態勢が議論された。

パパロ氏の発言は、2023年12月に米宇宙軍のジェイソン・ロワリー氏が、ビットコインやその他のプルーフ・オブ・ワーク型ブロックチェーンがサイバー戦において米国を防衛し得ると指摘した内容と重なる。
当時ロワリー氏は、ビットコインは主に資金を保護する「通貨システム」として認識されている一方で、実際には「あらゆるデータ、メッセージ、指令信号」を保護する用途にも活用できると述べていた。
ロワリー氏はまた、「この技術がサイバーセキュリティ、ひいては国家安全保障において持つ広範な戦略的重要性が過小評価されている」と指摘した。
ビットコインをサイバーセキュリティツールとして活用する研究が進む背景には、国家と関係する組織を含む多くの敵対勢力が、フィッシングやランサムウェア、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃といったサイバー攻撃を通じてインフラ破壊や経済的優位の確保を図っている現状がある。
その代表例の1つが北朝鮮のラザルスグループであり、過去10年にわたり数十億ドル規模の仮想通貨を窃取し、核開発計画の資金源としているとされる。
パパロ氏の発言は、トミー・タバービル上院議員からの質問への回答としてなされた。同議員は、中国の主要な金融シンクタンクがビットコインを戦略資産とみなしている点を踏まえ、米国および議会がどのようにビットコイン分野で主導権を握るべきかを問いかけていた。
パパロ氏は直接的な回答は避けつつも、「ビットコインは現実だ。これはピアツーピアのゼロトラスト型価値移転手段だ。米国の国力のあらゆる手段を支えるものはすべて望ましい」と述べた。
国家安全保障を意識したビットコイン法案提出
米国は国家として最大のビットコイン保有量とハッシュレートシェアを持つが、マイニング機器の製造は海外依存が続いている。この点はサプライチェーンリスクとして国家安全保障上の懸念を生んでいる。
先月、ビル・キャシディ上院議員とシンシア・ルミス上院議員は、この問題に対処するため、ビットコインマイニング機器の製造を米国内に回帰させることを目的とした「マイニング・イン・アメリカ法案」を提出した。
また同法案は、トランプ大統領の大統領令によって設立された戦略的ビットコイン備蓄の法制化も目指している。

