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Yoshihisa Takahashi
執筆者:Yoshihisa Takahashiスタッフ編集者
Yoshihisa Takahashi
校閲:Yoshihisa Takahashiスタッフ編集者

JPモルガンCEO、コインベースを批判 ステーブルコイン利回りめぐり

JPモルガンCEO、コインベースを批判 ステーブルコイン利回りめぐり
ニュース

米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOが、米暗号資産交換業大手コインベースに強い不満を示した。

争点は、米議会で進む暗号資産規制法案「CLARITY法案」だ。暗号資産市場のルールを明確にするための法案だが、銀行業界と暗号資産業界の対立が深まっている。

ダイモン氏が特に問題視しているのは、コインベースなどがステーブルコイン保有者に利回りを提供する仕組みだ。コインベースは、米ドル連動型ステーブルコインUSDCの保有者に約3.5%の報酬を提供している。銀行側から見れば、これは実質的に預金金利に近い。だが、暗号資産企業は銀行と同じ規制を受けていない。ここに不公平がある、というのが銀行側の主張だ。

ダイモン氏は、コインベースのブライアン・アームストロングCEOについて「銀行のように預金を受け入れるなら、銀行のルールに従うべきだ」と述べた。銀行業界は、現在のCLARITY法案をそのまま受け入れるつもりはないという姿勢を示している。

銀行側の懸念は単純だ。

ステーブルコインに高い利回りがつけば、個人の資金が銀行預金から暗号資産プラットフォームに流れる。銀行、とりわけ地方銀行や中小金融機関は、預金を原資に企業や個人へ融資している。預金が抜ければ、地域金融や中小企業向け融資にも影響が出る、という理屈だ。

一方、暗号資産業界は反発している。ステーブルコインは決済や送金の新しいインフラであり、利用者に報酬を還元することは自然な競争だという立場だ。コインベース側から見れば、銀行が守ろうとしているのは利用者ではなく、自分たちの預金ビジネスだ。

この対立は、単なる業界内の小競り合いではない。

米国では、トランプ政権下で暗号資産規制の整備が加速している。ステーブルコイン規制をめぐるGENIUS法案や、暗号資産市場全体の枠組みを定めるCLARITY法案が議論されてきた。コインベースはワシントンでのロビー活動を強め、暗号資産業界の代表格として存在感を増している。

これに対し、銀行業界も黙っていない。

JPモルガンのような大手銀行にとって、ステーブルコインは単なる暗号資産ではない。預金、決済、送金という銀行の中核事業に食い込む存在だ。特に、USDCのようなドル建てステーブルコインに利回りがつけば、利用者から見れば「銀行より利回りの高いドル口座」に見える。

ここが銀行にとっては危険だ。

従来、暗号資産業界と銀行業界の対立は、ビットコインをどう見るか、投機か資産か、といった話が中心だった。だが、いまの争点はもっと実務的だ。

誰がドルを預かるのか。

誰が利回りを払えるのか。

誰が決済インフラを握るのか。

そして、誰が銀行のように振る舞えるのか。

CLARITY法案をめぐる争いは、暗号資産の規制明確化という表向きの議論を超え、米国金融の主導権争いになっている。

コインベースにとって、ステーブルコイン利回りは成長エンジンだ。利用者を集め、資産を囲い込み、決済や取引につなげることができる。銀行にとっては、それが預金流出の引き金になりうる。

ダイモン氏の発言は、暗号資産への感情的な批判というより、銀行ビジネスの防衛戦だ。

JPモルガンはすでにブロックチェーンやトークン化預金にも取り組んでいる。暗号資産技術そのものを全否定しているわけではない。問題にしているのは、銀行と同じようなサービスを提供しながら、銀行より軽い規制で競争することだ。

米国の暗号資産規制は、いよいよ核心に入った。

ビットコインを認めるかどうかではない。

ステーブルコインを誰が扱うのかだ。

そして、暗号資産企業を銀行の外に置くのか、銀行と同じ土俵に乗せるのかだ。

コインベースとJPモルガンの対立は、その象徴だ。

暗号資産業界は、金融の新しい入口を作ろうとしている。

銀行業界は、その入口が自分たちの預金ビジネスを侵食することを警戒している。

CLARITY法案の行方は、米国の暗号資産市場だけでなく、ステーブルコインが銀行預金とどこまで競合できるのかを決める分岐点になる。

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