AIとプライバシーを前面に押し出すニア・プロトコル。そのネイティブトークンであるNEARが、暗号資産市場全体の沈滞をよそに、異様な強さを見せている。
ビットコイン(BTC)やイーサ(ETH)といった主力銘柄が足踏みするなか、NEARはここ数週間で市場を上回るパフォーマンスを記録した。
火曜日時点で、NEARは一時2.75ドル、約440円まで上昇。過去24時間でおよそ20%反発した。一方、同じ時間帯の暗号資産市場全体の時価総額は3.7%下落していた。つまり、市場全体が冷え込むなかで、NEARだけが抜け駆けした格好だ。

NEAR/USD four-hour chart. Source: TradingView
ポイントは二つある。
まず、NEARが数年単位の底値圏から反発しており、価格が3.77ドル、約603円に向かう可能性が高まっていること。
そして、ファンダメンタルズ面でも追い風がある。クロスチェーン取引システム「ニア・インテンツ」は、これまでに196億9000万ドル、約3兆1500億円の取引量を処理し、3264万ドル、約52億円の手数料を生んでいる。
過去の急騰劇と重なる“フラクタル”
NEARの週足チャートを見ると、長期的な底値圏である0.90〜1.10ドル、約144〜176円の水準から反発していることが分かる。このゾーンは、2021年と2024年にも大相場の起点となった場所だ。
2021年には、この底値圏からの反発で2375%もの上昇を記録。2024年にも、天井をつけるまでに900%の上昇を見せた。いずれのケースでも、上昇はNEARの長期的な下降トレンドラインにぶつかるところで力尽きている。
今回の値動きは、規模こそ過去ほど大きくない。だが構造はよく似ている。

NEAR/USD weekly chart. Source: TradingView
火曜日時点で、NEARは2月に0.90〜1.10ドルの底値圏をつけてから225%上昇し、複数年にわたる下降トレンドラインの抵抗帯に接近していた。
当面の上値目標は3.40〜3.77ドル、約544〜603円の範囲だ。これは200週指数移動平均線、いわゆる200週EMAと、フィボナッチ・リトレースメントの0.382水準が重なるエリアである。
現在価格から見れば、上昇余地はおよそ25〜40%。強気派にとっては、十分に色気のある数字だ。
だが、目の前には“壁”もある
ただし、話はそう単純ではない。
NEARの前には、2.61〜2.72ドル、約418〜435円の強い抵抗帯が立ちはだかる。この水準は100週EMAとフィボナッチ0.236水準が重なる場所でもある。

NEAR/USD weekly chart. Source: TradingView
ここを明確に突破できなければ、反落の可能性もある。その場合、50週EMAが位置する2ドル前後、約320円まで押し戻される展開もあり得る。現在価格から見れば、約30%の下落だ。
さらに、NEARの週足RSIは68近辺まで上昇している。勢いは強いが、過熱感も近い。RSIが70を超えれば、一般的には「買われすぎ」圏に入る。短期的な調整や、2ドル付近への反落リスクは高まることになる。
ニア・インテンツと6月アップグレードが強気材料に
一方で、NEARの基礎体力は悪くない。
市場の関心は、同プロトコルが進めるAI、プライバシー、クロスチェーン基盤への取り組みに向かっている。その中心にあるのが、ニア・インテンツだ。
ニア・インテンツは、利用者がブリッジや分断された流動性を自分で意識することなく、複数のブロックチェーン間で資産を移動できる仕組みである。
デフィラマのデータによれば、このプロダクトはこれまでに196億9000万ドル、約3兆1500億円の取引量を処理し、約3264万ドル、約52億円の手数料を生み出した。

Near Intents TVL, fees, revenue, and DEX volumes. Source: DefiLlama
さらに、6月に予定されているネットワークアップグレードも強気材料だ。NEARは「ダイナミック・リシャーディング」を導入する見通しである。
これは、需要の増加に応じてネットワーク容量を自動的に追加する機能だ。利用者や開発者が裏側のインフラを意識しなくても、スケーラビリティを高められる設計になっている。
アーサー・ヘイズは「長期で20倍」と予測
そして、強気派の声をさらに大きくしているのが、ビットメックス共同創業者のアーサー・ヘイズである。
ヘイズ氏は、NEARの価格が長期的には20倍になるとの見方を示している。
もちろん、これはあくまで強気シナリオにすぎない。チャート上では3.40〜3.77ドル、約544〜603円が当面の目標となる一方、2.61〜2.72ドルの壁を突破できなければ、2ドル、約320円までの調整も視野に入る。
市場全体が弱含むなかで、NEARだけが走り続けられるのか。
6月の相場は、このAI・プライバシー銘柄の“独歩高”が本物かどうかを試す局面に入っている。
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