ビットコイン(BTC)市場に、再び“粛清”の足音が近づいている。2026年の弱気相場で投資家が抱えた実現損失は、いまだ過去の記録を塗り替えていない。市場の底打ちには、まだひと波乱が必要かもしれない。
オンチェーン分析プラットフォーム「クリプトクアント」のデータによれば、投資家の降伏、いわゆるキャピチュレーションは、2022年の弱気相場ほどの規模にはまだ達していない。
投稿者のダークフォストはXへの投稿で、こう指摘した。
「実現損失は米ドル建てで計算される。したがって、同じような投資家行動が起きているなら、市場規模が拡大している分、弱気相場での米ドル建て損失もより大きくなってしかるべきだ」
実現損失とは、前回取引された価格よりも低い価格でコインがオンチェーン上を移動した際に計上される損失を指す。要するに、投資家が含み損に耐えきれず、損切りして売却した痕跡である。
2022年の弱気相場では、この実現損失が2110億ドル、現在の為替で約33兆8000億円に達し、過去最高を記録した。だが今年は、ビットコインの時価総額が米ドル建てで当時より大きいにもかかわらず、まだその水準には届いていない。なお、円換算は足元の米ドル/円がおおむね1ドル=160円前後で推移していることを踏まえた概算である。
ダークフォストによれば、「10月の天井」以降、すでに約1740億ドル、約27兆9000億円の損失が実現しているという。つまり、2022年の記録まではなお350億ドル、約5兆6000億円ほど足りない計算になる。

Bitcoin bear market realized loss comparison. Source: Darkfost/X
この差が意味するものは、決して小さくない。過去の弱気相場のパターンが今回も守られるなら、損失を抱えた投資家がさらに市場から退場する局面が訪れる可能性がある。
ダークフォストは、「市場はさらに粛清される可能性がある」としつつも、それはなお主観的な見方だと留保した。そのうえで、「弱気相場があと数カ月続くなら、2023年の損失を上回る可能性はある。だが現時点では、相場がかなり進行しているにもかかわらず、その水準にはまだ達していない」と述べた。
もう一つ、底打ちを疑わせる材料がある。個人投資家の楽観である。
トレーダーでコメンテーターのアルディによれば、個人投資家は下落するナイフをつかみにいっている。価格が下がり続けるなかで、彼らは買っては投げ、また買っては投げる。一方で、中規模以上の投資家や機関投資家は、反発局面を利用して売り抜け、供給を個人に押しつけているという。
アルディは日曜日、こう説明した。
「個人投資家は何カ月ものあいだ、相場が差し出す“押し目”をすべて買ってきた。まるで底値が銀の皿に載せられて差し出されているとでも思っているかのようだ。その同じ期間、中規模投資家や機関投資家は、彼らの希望的観測に売りをぶつけてきた」
そして、こう続ける。
「最も資本の少ない人々が、最も資本を持つ人々から供給を吸収している。大きな底値形成は、通常そういう形では起きない」

BTC/USDT one-day char with order-book data. Source: Ardi/X
アルディは、個人投資家の確信が「驚くほど高い」と表現した。実現損失のデータと同じく、この強気姿勢も、現在のビットコイン価格の安値が本当の弱気相場の底であるとの見方に疑問を投げかけている。
「この力学が変わらない限り、本当のキャピチュレーションが起きたと主張するのは難しい」
市場の底とは、希望が残っている場所ではなく、希望が消えた場所に現れる。少なくとも今回のビットコイン市場では、まだその瞬間は訪れていないのかもしれない。
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