暗号資産市場で、再びビットコインに視線が集まっている。
週末にかけてビットコイン(BTC)は反発した。足元では7万4000ドル、円換算で約1179万円前後まで値を戻している。市場関係者がいま注目するのは、次の節目となる7万8200ドル、約1245万円だ。
なぜ、この水準が重要なのか。
そこには、ビットコインを3カ月から6カ月保有している投資家たちの「取得原価」がある。つまり、この価格帯を下回るか、上回るかで、投資家心理は大きく変わる。

BTC realized price by age vs. price. Source: Glassnode
「ここは守る」短期保有者たちの本音
オンチェーン分析会社Glassnodeのデータによれば、3〜6カ月保有者の取得原価は7万1400ドル、約1137万円付近にある。
アナリストのマーカス・コルビナス氏は、この水準をビットコインにとって「短期で最も強い支持帯」と呼んだ。
理由は単純だ。
この価格帯で買った投資家たちは、まだ含み益を抱えている。だからこそ、簡単には売らない。むしろ「ここを割らせまい」とする力が働く。
コルビナス氏はこう指摘している。
「この投資家層は依然として利益を維持しており、この水準を守る強い動機がある」
実際、ビットコインは週末に約2.5%上昇し、7万2500ドル、約1155万円近辺から反発した。これは、まさにこの“防衛ライン”付近で買いが入った格好だ。
次の標的は「7万8200ドル」
では、ビットコインはどこまで戻るのか。
市場が意識する次の上値は7万8200ドル、約1245万円である。
この水準は、同じく3〜6カ月保有者の実現価格と重なる。2025年10月の急落局面で、強気派はこのラインを失った。つまり、ここを奪還できるかどうかが、相場の空気を変える分岐点になる。
過去のデータも、強気派にとっては心強い。
2017年以降、ビットコインが3〜6カ月保有者の取得原価を上回った後、平均して30日後に2.3%、90日後に21.9%、180日後に36.6%上昇してきた。

BTC's 3m-6m cohort realized price vs. price. Source: Glassnode
現在の7万4000ドル、約1179万円を起点にすれば、単純計算でこうなる。
1カ月後は7万5700ドル、約1206万円。
3カ月後は9万200ドル、約1437万円。
6カ月後は10万1100ドル、約1610万円。
つまり、年末までに10万ドル、約1593万円台を再び視野に入れる展開もあり得る、というわけだ。
ただし、楽観はまだ早い
もっとも、相場はそう単純ではない。
チャート上では、ビットコインは「弱気フラッグ」と呼ばれる形をなお維持している。これは急落後にいったん値を戻しているように見えながら、再び下に抜ける危険をはらむパターンだ。
ビットコインは2026年高値の9万8000ドル、約1561万円付近から大きく下落した。その後、現在はフラッグ下限の支持線付近で踏みとどまっている。

BTC/USD daily chart. Source: TradingView
ここから反発が続けば、9万ドル、約1433万円付近まで戻す可能性がある。この水準は、フィボナッチ・リトレースメントの0.786ラインや、3〜6カ月保有者の取得原価とも近い。
いわば、9万ドルは強気派にとっての“次なる本丸”である。
下に抜ければ「5万ドル台」も
しかし、日足の終値で下限トレンドラインを割り込めば、話は一変する。
その場合、ビットコインは弱気フラッグを下抜けたとみなされ、5万〜6万ドル、約796万〜956万円台までの下落リスクが浮上する。
そうなれば、今回の反発は本格回復の号砲ではなかったことになる。
むしろ、下落相場の途中で一時的に息を吹き返しただけ。市場参加者が最も嫌う「だましの反発」だった、という見方が強まるだろう。
いま問われているのは「7万1400ドルを守れるか」
結局のところ、今のビットコイン相場で最も重要なのは、派手な10万ドル予想ではない。
まずは7万1400ドル、約1137万円の支持帯を守れるか。
次に7万8200ドル、約1245万円を奪還できるか。
そして、その先に9万ドル、約1433万円が見えてくるか。
暗号資産市場の熱狂は、いつも突然戻ってくる。
だが、その前には必ず、静かな攻防がある。
いまビットコインで起きているのは、まさにその局面である。
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