暗号資産ビットコインが、またも微妙な局面を迎えている。
5月31日、ビットコインは7万3500ドル前後、日本円にして約1170万円近辺で推移した。月間では約3%安。いわゆる「月足」が赤字で終わる可能性が高まっている。

BTC/USD one-hour chart. Source: Cointelegraph/TradingView
株式市場は強かった。米国株は週末にかけて最高値を更新し、米国とイランをめぐる緊張緩和も市場には追い風になるはずだった。だが、ビットコインはその波に乗り切れなかった。
「なぜ、ここで上がらないのか」
投資家の間には、そんな空気も漂っている。
カギを握るのは「米国の雇用」とPMI
市場が次に注目しているのは、米国の労働市場関連データだ。
投資情報アカウント「The Kobeissi Letter」は、翌週の市場について「すべては労働市場次第」と指摘。米雇用統計などが、暗号資産や株式といったリスク資産の値動きを大きく左右する可能性がある。
なかでも注目されるのが、米供給管理協会(ISM)が発表する製造業PMIだ。製造業の景況感を示すこの指標は、ここ数カ月、ビットコイン相場を支える材料になってきた。
暗号資産運用会社Bitwiseの欧州調査責任者、アンドレ・ドラゴッシュ氏は、ビットコインが今も成長期待やリスク選好と連動しているなら「ここから上方に再評価される必要がある」との見方を示している。
つまり、市場が見ているのは単なるチャートではない。
米景気は本当に失速しているのか。
それとも、リスク資産に再び資金が向かう地合いなのか。
その答えが、ビットコインの次の値動きを決める可能性がある。

US manufacturing PMI data (screenshot). Source: ISM
「7万3000ドルを守れるか」が焦点に
足元で最も意識されている水準が、7万3000ドルだ。日本円では約1160万円にあたる。

BTC/USD monthly returns (screenshot). Source: CoinGlass
トレーダー兼アナリストのRekt Capital氏は、ビットコインが足元の下落をこなしながらも、7万3000ドルの再テストに成功していると分析。週足終値でこの水準を上回れば、2月下旬以降に形成された「ダブルボトム」からの上抜け確認に近づくという。
要するに、7万3000ドルは単なるキリのいい数字ではない。
ここを維持できれば「まだ強気相場は終わっていない」と見る投資家が増える。一方で割り込めば、失望売りが出やすくなる。
市場心理の分岐点なのである。

BTC/USD one-week chart with double bottom. Source: Cointelegraph/TradingView
当面は「6万〜8万ドルのレンジ」か
ただし、すぐに一方向へ大きく動くとは限らない。
トレーダーのDaan Crypto Trades氏は、ビットコインが強気相場のサポートバンド付近で取引されていると指摘。週足の200日移動平均線や指数平滑移動平均線も上向きで、価格に近づいているという。
そのうえで同氏は、今後しばらくは6万〜8万ドル、日本円で約956万〜1274万円のレンジで推移しても不思議ではないとの見方を示している。
大きく崩れるわけでもない。
かといって、一気に最高値を狙うほどの勢いもない。
いまのビットコイン相場は、まさに「次の材料待ち」という状態だ。

BTC/USD one-week chart. Source: Daan Crypto Trades/X
先物の“窓埋め”神話にも変化
これまで短期トレーダーの間では、CMEグループのビットコイン先物にできる「窓」が、相場の目標値として意識されてきた。
だが、ビットコイン先物が24時間取引に移行したことで、こうした“窓埋め”をめぐる短期的な思惑は、以前ほど強い材料ではなくなりつつある。
結局、次の焦点はシンプルだ。
ビットコインは7万3000ドルを守れるのか。
米国の経済指標はリスク資産に追い風となるのか。
そして、5月の下落を単なる調整で終わらせられるのか。
市場は、その答えを待っている。
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