ブロックストリームのアダム・バックCEOは木曜日、将来的にビットコイン(BTC)がポスト量子対応へ移行すれば、サトシ・ナカモトに紐づくコインのうち、どれだけが現在もアクセス可能かが明らかになるだろうと述べた。脆弱な保有資産を守るには、新たなアドレス形式へ移動する必要があるためだ。
バック氏はパリ・ブロックチェーン・ウィークで、こうした移行ではユーザーに十分な移動期間が与えられる可能性が高いとし、その過程で移動されなかったコインは合理的に「失われた」とみなせると主張した。
「ポスト量子対応アドレス形式への移行は、サトシがまだどれだけのコインを保有しているかを示す手がかりになる可能性がある」と同氏は述べた。サトシ・ナカモトの保有量は50万BTCから100万BTCと推定されている。
量子コンピュータの脅威を巡る議論は活発化している。水曜日にはジェイムソン・ロップ氏と5人の共同執筆者が、量子脆弱なアドレス形式で保有されているコインの将来的な移動を制限することを目的としたビットコイン改善提案(BIP)を公開した。

ブロックチェーン分析企業アーカムは、サトシ・ナカモト関連ウォレットが109万BTCを保有しており、その価値は現在816億ドルに達すると推計している。
「量子脅威はまだ先」 バック氏は長期的余地を強調
バック氏は、ビットコイン開発者や保有者には依然として準備のための時間が十分にあるとし、ビットコインの署名を脅かすレベルの量子技術の実用化には少なくとも20年はかかるとの見方を示した。
同氏は、現在の量子コンピュータは「5ドルの電卓よりも性能が低い」と述べる一方で、システムが大規模化するほどエネルギー消費などの課題が深刻化すると指摘した。
この猶予期間により、開発者とユーザーはポスト量子対応への移行経路を整備し、ハッシュベース署名に基づく新たな量子耐性標準へ移行する十分な時間があるとした。
2025年12月には、バック氏が率いるブロックストリーム・リサーチが、ポスト量子環境におけるビットコインの安全性を確保する「有望な手段」として、ハッシュベース署名方式を提案する論文を発表した。これはECDSAおよびシュノア署名の代替となる量子耐性手法であり、ビットコインの設計で既に用いられているハッシュ関数の前提のみに依存する。
楕円曲線デジタル署名アルゴリズム(ECDSA)は、楕円曲線暗号を用いてメッセージの真正性と完全性を検証する仕組みだ。シュノア署名は、複数の署名を1つにまとめられる特性により、プライバシー向上とデータサイズ削減に寄与すると評価されている。

